一骑当千书评
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1912年(明治45年)4月19日~1985年(昭和60年)9月12日富山市泉町57番地に生まれる。本名田中富雄。富山県立富山商業卒業後住友合資会社入社。戦後の財閥解体後泉不動産(現住友不動産)に移り、1956年総務部次長で退職。小説家に専念する。勤続25年10ヶ月のサラリーマン生活体験を基盤に、サラリーマンを主人公とした数多くのユーモア・明朗小説を発表する。処女作は1934年報知新聞社募集の懸賞小説に入選した「村の代表選手」。翌年のサンデー毎日募集の懸賞小説で「明日も青空」が佳作。このときから源氏鶏太のペンネームを使用。実質的な作家活動は、1947年の「たばこ娘」から。1951年「英語屋さん」他で第25回直木賞。1958年より直木賞選考委員。1961年より東宝株式会社監査役。1970年、吉川英治文学賞。一言 日本の高度成長期時代のベストセラー作家です。大正あるいは昭和一桁生まれのお父さんたちが支持した代表的な作家ですが、亡くなって15年。最近はあまり目にすることがなくなりました。ユーモア小説で、基本的に勧善懲悪、読んでいて気持ちのよいものが多いのですが、佐々木邦の時代のサラリーマンが、一部のエリートであったのに対し、源氏鶏太の時代は普通の職業に変わったことが話の中身に影響を与えています。私は、源氏鶏太の後継者は赤川次郎だと思っているのですが、赤川がユーモア・ミステリーという形でサラリーマンを描くのは、単純なユーモア小説だけでは描けない時代の反映かもしれません。戦後から高度成長期にかけての理想的サラリーマン(現実にはいないと作者自身も言ってました)の姿を楽しみたいと思います。